久々に自然科学ネタです。
現代社会では、体が大きい人の方が、好ましく思われ、また女性にもモテル。
また、体が大きい=強いと、思っている人が多い。
もし、体が大きい方が生存に有利なら、人間はどんどん大きく進化したはずだが、そうはならなかったのは、なぜだろうか考えてみたい。
体が大きくなることによる影響を以下に3つ挙げる。
①体が大きくなるほど(体重が増えるほど)、筋肉量は増えて、筋力は上がる。しかし体重当たりの筋力(筋力/体重)が落ちる。
よって大柄なほど、素早い動きができなくなる。(体操選手は小柄なほうが有利なのでイメージできると思う。)
当然、重いほど移動能力も落ちる。マラソン選手で体重の重い人はいないです。
②大柄(高身長)なほど、神経伝達速度が遅れ、反応速度が遅くなる。
早打ち競技なども、小柄なほうが有利
100m記録保持者のボルトンは身長2m近くありますが、医学界の謎のようです。(伝達速度的にありえない)
③体が大きくなるほど、エネルギー効率は良くなるが、エネルギー消費量は増える。
つまりたくさんの食料が必要になる。
まず、1対1の格闘を考えてみたい。
素手による格闘では、体が大きい方が圧倒的に有利だ、小さい方が俊敏性とスピードに勝るが、人間は素手では、致命傷を負わせることができない。普通は、筋力と重量で圧倒した方が勝つだろう。(特別な訓練をしていない前提ですが)
次に武器を持った1対1の戦闘では、相手に致命傷を与えるような武器は重いので、取り回しを考えると、体が大きい方が有利とは思うが、体格による強さの差は少なくなる。
小柄な人間の力でも、相手に致命傷を与えられるようになると、反応速度と俊敏性に優る小柄な人の優位性が高まってくる。(武器の軽量化や性能が進むほど有利になる)
ただ、原始社会の1対1の格闘は、基本的には集団内の身内同士で、ある程度ルールをもって(武器をつかわない等)行われることが多いと思う、異性をめぐる争いや、男性の組織内での闘争だ。
よって、男の場合は、体が大きい方が組織内の同性間の争いに有利になる。
現代でも、体の大きい方がスポーツで活躍しやすいし、男同士の力関係でも優位に立てるので、大きい方が有利だ。
次に体格の異なる集団間の生存競争について考察してみたい
狩猟採集生活をする二つの集団を考えてみる。一つは体の大きい集団、一つは小柄な集団だ。
小柄なほうが、移動能力に優れるため、食物採集には有利だ。多くの食物を採集できる。そして、必要とする一人あたりの食物の量も少なくて済む。
このことから、同じ地域で二つの集団が存在した場合、小柄な集団の方が人口が多くなる。
体格の異なる集団間の闘争については
集団間の闘争では小柄な集団が圧倒的に有利になる。理由は
・人口は、小柄な集団の方が多い(戦闘員の数が多い)
・移動能力(機動性)が小柄な集団の方が高い
集団間の闘争は、武器をもった戦闘(戦争)になる。武器をもった戦闘では、体格による強さの差が小さくなる一方で、圧倒的に人数が多い方が優位だ。(ランチェスターの第二法則では、強さは人数の二乗に比例する)
そして、移動能力(機動性)が高いと、相手を追うのも、逃げるのも有利になる。
機を見て攻めて、負けそうになれば逃げれば追いつかれないので、負けることはない。
また、機動性が高いと分散集合が容易になる。ただでさえ人口が多いのに、相手を分散させて各個撃破できる。
結論からいうと、集団間で闘争していた原始社会の人間の体の大きさというのは、気候などの環境要因、生活様式、武器で相手に致命傷を負わせる能力、などを充たす中で、最も体が小さい集団が有利になる可能性が高い。
大柄な民族というのは、気候など特殊な環境要因や生活様式を充たすための淘汰に晒された結果。あるいは集団間の闘争の淘汰がなく、性淘汰が強くでた社会だったと予測する。(集団の闘争に強いから大きくなったわけではない)
例えば、寒冷地に適応して大型化する北方民族、また、集団内の強い男が女性を独占するような極度の重婚社会などは体格が大型化する可能性がありえる。
以上、思考の遊びをしてみました。
ちなみに、私の身長は170cmだが、同世代の平均よりはやや小さい。でも、この記事は、高身長者への僻みじゃないですよ。 あ~それでもあと5cm欲しかった。