2011年11月8日火曜日

なぜ合意できないのか(詭弁術を考察する)

利害関係のある問題解決、例えば政治や企業経営の議論、意思決定の場面で、最適案に、決まることは少ない。
大体が、堂々巡りで決まらないか、中途半端な総花的案になる。
これは、議論の多くが、「詭弁術」により有効に行われないからだ。
 ここでは、代表的な詭弁術について考察してみたい。

①デメリットを強調 物事には、必ずメリットとデメリットがあるが、ことさらデメリットだけを強調して騒ぎ立てることで、意見をつぶす。
例:「もし~が起こったら、お前が責任取れるのか!」、「人が死んでもいいんですか!」

②善悪論に持ち込む
道徳論や、論語などを引用して、悪いことだと決めつける。 例:「みんなの和を壊すつもりか!」 「~に失礼だ」

③個人・人格への攻撃
 議論→個人の喧嘩に持ち込んでしまう技術。
例えば 「おまえは、~に喧嘩を売っているのか!」、「おまえは、~のメンツをつぶした」など意味不明な逆切れで恫喝する。 
 個人対集団の喧嘩にしてしまうのが高等戦術。~の部分は、「俺」など一人称より、例えば「俺たち」、「~部」など集団の方がより効果的。

④情に訴える
「~が可哀そう」、「~される立場にもなってみろ!」などという情に訴えて、意見をつぶす方法

⑤決めつける
言葉尻を捉えて、「~差別だ」、「~が目的でやっているんだろう」、などと決めつけ、レッテルを張る。議論→個人攻撃にすり替える。

⑥論点、本質をすり替えてしまう。
 データの信ぴょう性、話の前提など重箱の隅をつついて、本質の議論をさせない。
 別の話を持ち出して、議論をそらす。
 例「そんなことより、こっちの~の方が問題だ」

⑦ごまかし
「言っている意味が分からない、あなたのロジックは破たんしている!」
「もう少し、整理してからもう一度提案してください。」
といった形でごまかしてしまう。

⑧言葉使いや、態度を攻撃
「何をそんなに怒っているんだ!」と相手が怒っていると決めつける
 「なんだその態度は!」などと言葉使いや態度などを攻撃し、意見をつぶす。

⑨地位や権威による攻撃 「誰に対して言ってるんだ!」など権威や地位を使って、意見を抹殺する。
「~が言っていた」などと有力者の権威により意見に反対するやり方もある。

⑩難解な用語や、経験主義でごまかす
「こんな言葉も知らないのか? もっと勉強してから意見しろ!」
「~の経験したこともないのに、こんなの机上の空論だ」などと決めつける

⑪ほめごろし 部下の意見などを、「良い意見をありがとう」と受け入れてしまう。
 しかし、実行はしない。

 以上に述べた通り、詭弁術を駆使されると、対抗することが難しい。

 成功している企業は、少数の優秀な意思決定者による即決と実行ができる会社が多いと思う。

これは、合議を重視している企業では、詭弁術により有効な議論ができず、意思決定が遅れる上に、組織内の利害関係者の力関係で経営の方向がきまる傾向が強まるためである。
 
 また、問題解決に向けた論理的な議論をするためには、詭弁術を排除するファシリテーターが欠かせない。
 外部のコンサルタントを活用するのも手だろう。