投資ファンドというと、アジア通貨危機の元凶とかすごくイメージが悪い。
(実際に悪い奴も多いだろうが)
伝説の投資家ジョージソロス(タイの通貨危機を引き起こした元凶と言われることもある。)の投資原理について、前回述べた経済物理学の話とよく似ているのでここで話したい。
まず、前提として人間の不完全性がある。
つまり、人は、制約された情報しか持っていない、能力も未熟である。
よって、不完全な意思決定をしているということだ。
暴騰・暴落のメカニズムの例として、以下に様な企業があったとする。
・実体・実力のない企業
・見かけだけは、優良企業に取り繕っている
①人は、見かけで判断する(不完全性)
投資する。知名度が上がる。機会に恵まれる
↓
②評価が実体に反映されて、実際に業績があがる
↓
③虚像である実体につられて、ますます資本が集まる
↓
④実体価値と評価価値にかい離→バブル
↓
⑤市場が実体と評価価値のかい離に気づく
↓
⑥崩壊
投資の基本原理は、単純で、実体価値と評価価値にかい離があるものを見つけて逆張りする。つまり崩壊のポテンシャルが高い相場を見つけて、崩壊の過程で儲ける。
��といっても、真似できないわけですが)
※実際は、崩壊を演出している。通貨相場の場合は、売りを仕込んでおいて、現物を売り浴びせる。他のファンドも同調して通貨危機になったと言われている。
ファンドの善悪は評価しがたいが、善悪の要素を比較してみると
投資ファンドの善の部分
・崩壊は、実体価値と評価価値のかい離が原因で、市場全体の責任であり、投資ファンドが存在しなくても、いずれ起こった。
・実体価値と評価価値にかい離の是正は、早い(速い)方がよい、長期的利益を考えると一気に膿をだす損切りをした方がよい。
・投資ファンドは、むしろ市場を実体に近づけ、健全性を保つ働きをした
・ルールの中での競争であり、何も悪いことはしていない
投資ファンド悪玉論
・資本の支配、乗っ取りをするものだ
・崩壊が急激で多くの人が損害を被った
・実体価値と評価価値のかい離の増大も演出している(バルブ自体を仕掛けている)
・崩壊時、実体価値自体が損耗する
自分の評価としては、
情報と取引の速度が速い現状では、意思決定の不完全性から少しの情報でも過剰に市場が反応し、反応につられて、さらに反応拡大していくような状況(過剰流動性と言うのがいいのか?)
つまり、市場は、実体の価値(収益力、配当などファンダメンタル)ではなく、虚像である他の投資家の評価、相場の上下による売買で儲けようとする方が圧倒的に多くなっている。
その場合、市場は、価値変動を平準化するより、バラツキを大きくさせる方向に進むはずだ。
実体と関係ない部分での変動は、社会的利益になるのか疑問になる。(単なるゼロサムゲームのような気がするのだが)。社会的利益にならないのなら、大きな投資ファンドの活動による社会的損失を減らす意味で、取引ルールの規制強化には妥当性があるかもしれない。
とりとめのない文章になってしまった。
最後に何が言いたいのかというと、投資ゲームには、表面的な事象(評価価値)でなく、本質的な部分(実体価値)を見抜くことが重要だ。
また、投資以外のことでも、自分自身や人の不完全性を理解しつつ、「実体の価値」、つまり本質を理解することが、重要な能力であると思う。