2011年11月8日火曜日

シカの捕獲方法アイデア(シカ肉の商用利用の可能性)

 現在、シカが日本各地で異常繁殖し、山の植生や農作物などへ被害をもたらしている。
 また、駆除が追い付かず、食肉の商用利用もあまり上手くいっていない。
 ちなみに、明治期は、エゾシカの缶づめは輸出品だったのだ。過去は商用利用されていたことになる。(その後一時は絶滅の危機に)

現在のシカ肉利用は、捕獲および供給の点で以下の問題がある。
・ハンターが減少した
・勢子など人手がかかる
・非常な苦労と危険が伴う(銃の事故、山歩き)
・狩猟範囲が限定される(民家やハイキングコースの近くでは発砲できない)
・仕留めても、重くて運ぶのが大変、正しい精肉処理が行われないと肉や皮の商品価値が落ちる
・野生そのままでは、個体によっては味覚が落ちる(脂がのっていない可能性)
・安定して供給できない


 話は変わるが、ニュージーランドには、もともと鹿はいなかったのだが、日本から移入した日本シカが繁殖している。食肉として利用されているが、捕獲は長大な柵ワナによる猟が行われるらしい(具体的な方法はわからない)。
これにヒントを得て、現在の技術を生かしたシカの捕獲方法と商用利用の可能性について考えてみた。以下に羅列的に述べてみる。

①長大な柵ワナ
大きな囲い柵(100m四方、1ha)、誘導用の柵、数百m
牧草と身を隠せる灌木がある場所にして、常時開放しておく、普段はシカが来て草を勝手に食べるに任せる。
 柵の構造としては、コンクリなどの永久構造だと、かなり高コストとなる可能性がある。
 樹木とワイヤ、簡易な鉄柱などを組み合わせて利用した低コストな構造を検討する必要がある。

②シカの位置の把握
��PSと監視カメラ
��PSにより、シカの位置を把握、タグのようにして群れの数頭につける。
最近野生動物研究で、鳥や魚にもつける小型のものがあるようだ。

��PSで、群れの行動範囲およびルートやパターンを調査し把握しておく。
行動範囲をグリット化し、座標、またはゾーンを設定する。
群れの規模を把握するために、行動ルートに監視カメラを設置する。

③柵ワナへの追い込み方法
人手を最小限にして、柵ワナに追い込む方法として、必要なものは
音響発生装置(スピーカ、ワイヤー振動機):各地点に設置
ラジコンヘリ(GPSとカメラ付き)
勢子を林道に分散配置・携帯で指示
特殊訓練された犬

方法は、GPSで群れの位置を把握しながら、音響発生装置、ラジコンヘリ、林道に分散配置した勢子、訓練された犬を使い、柵ワナに追い込む。
従来よりずっと少人数、低コストでできると思う。

④捕獲・管理・流通
 柵ワナに群れごと追い込み、山域に最適な群れの規模になるように、捕獲する。
同時に病気の個体の治療または、排除、GPSの取替も行う。
 捕獲した以外のシカは開放、捕獲したシカは、太らせて正しい処理をした高品質な毛皮や肉を安定的に出荷する。

羅列的に書いてみたが、山域全体を、牧場のように見立てて群れを管理するイメージだ。
そもそも、この捕獲方法が上手くいくのかどうかもわからないが、その他にも、初期投資の問題、一般のハンターを規制できるのか、農作物への被害をどう防ぐのかなど課題は残る。

 GPSで群れの位置は把握できるので農地に出てくれば、すぐにわかり対処はしやすい。(日本サルでやっているところがある)、が被害が出た時に、シカの管理者として賠償を要求されるかもしれない。

 単純に長大な柵ワナだけにして、中に牧草を植えて、群れが入った時に捕まえるのが一番現実的かも。
 これでもコスト・採算的に割りに合うか疑問だが、北海道あたりでだれか実験できないだろうか。