2011年11月8日火曜日

会社がつぶれるとき その1

会社がつぶれるとき、ある日突然つぶれることは少ない。実際は、数年かけてジリ貧になっていて、最後にどこかから破綻していく。
 年々、ジリ貧になっていく会社で、内部の社員皆がわかっていてなぜ対応できないのか?

 私は、社員200人弱の建設コンサルタント会社に新卒入社し10年以上勤務していたが、その会社は最後に破綻した。
経営破綻に向かう過程の、会社の内部の組織や人間関係はどうなるのかについて、自分の経験から考察してみたい。

 会社の崩壊のきっかけは、きわめて単純だった。
 建設業界は、戦後から毎年市場が成長し、需要超過の時代が数十年続いており、私のいた会社も安定した成長を続けていた。
しかし、90年代後半に公共事業縮減による建設市場の縮小がはじまり需給バランスが崩れ、また、入札制度も提案+実績重視の方式になり、大手有利になったことにより、ある年を境に売上げが激減していった。

崩壊の過程は次の通りだ。

①40数年安定成長を続けた市場にいた経営者にとって、急に売上が激減していくなんていうリスクを想定していない。 
 この状況が発生しても、ほとんどまともな手は打っていないが、さすがに危機に気がついて、まずやったことは、
 残業カット(上限20h)→その後さらに残業代ゼロに
 ボーナスカット(支給額一律10万円に)

だが、これ以上の対策が打ちだせなかった。
もともと、残業手当がない管理職より、社員の方が大きな収入ダウンになった。
管理職は、年収1000万→800万になってもそれほど生活には困らないだろうが、
��0歳当時に係長の私で、600万円代→400万円代に減少した。その後基本給の一律カットも行われたので、20代社員では、おそらくアルバイト程度の収入になっただろう。
��毎日、残業+休日出勤の状況である。)
賃金カットは短期的には良いが、人が資本の建設コンサルでは長期的には裏目にでた。

②このような状況が数年続くと、モラル・モチベーションとも一気に低下する。
和気あいあいとしていた部署も、険悪な雰囲気になってくる。(誰が悪いとか、楽してるとかそういうことだ)、仕事もダラダラ、やってもやらなくても給与は同じだし、適当に仕事してる人も増える。
そして、20代社員は、逃げだそうとする。メンタル的な病気の休職者も増えてくる。そして、残った社員にさらに負担が増えるという悪循環に陥る。
何というか、会社の中に、暗く無気力な、澱んだ空気が漂い始める。

③会社への忠誠心も3年位が限度だ、何年経ってもまともな対策が打ち出せず、じり貧になっていく、給与で家族も養えないとなると、業務を主に担当し売上や利益を上げている30代が辞め始める。大体、目端の聞く人間から先に辞める。実績のある人間は引く手あまただだし、ずっと良い条件で雇ってくれるところは沢山あるからだ。
 そして、管理職と、ごく少数の若手だけの会社になる。
こうなると、現実的に業務を受注しても、こなす能力は無くなる。
品質も、顧客対応力も低下して評判はさらに下がっていく、そして、最終的には会社は清算された。

 と過程は次の通りだが、驚くべきことは、人件費カット以外の、現実的な対応を何年たっても打ち出せなかったことだ。そしてなし崩し的に破滅にむかって崩れていった。
その要因を分析してみると
                その2へ続く